政府は、移転価格に関する新しいDecree20/2017/ND-CPを2017年2月24日付にて発行しました。
施行日は、2017年5月1日になります。
この新しいDecreeは、従前のCircular66の置き換えであり、納税者にとって負担が増加することが予想されます。概要は、以下になります。
1. 関連者の定義の変更
資本関係の持分が直接間接を問わず20%から25%に変更。
仕入、売上割合の50%の基準が削除
2. 移転価格文書の階層構造化
税源浸食と利益移転( Base Erosion and Profit Shifting(BEPS) )の規定に基づき、移転価格文書については以下の様に構造化されています。最終親会社が、国別報告書を提出保管している場合は、ベトナムの納税者は、国別報告書を提出する必要があります。
2-1.グループ情報(マスターファイル)
2-2.ローカル移転価格文書(ローカルファイル)
2-3.国別報告書(CbCR)
3. 移転価格文書の作成期日の変更
法人税申告書の提出前(年度末90日前)以前に作成する必要があります。
また、税務当局の要請があった場合は、15営業日以内に提出する必要があります。
以前は、30日でしたので、短縮されています。
4. 作成対象企業の基準の設定
以下に該当する企業は、移転価格文書の作成義務はありません。
4-1. 売上高が500億VND(約2億5千万円)かつ関連者との取引が300億VND(約1億5千万円)
4-2..単一の事業内容で、売上が2,000億VND(約10億円)かつ、
売上に対するEBIT(Earning Before Interest and Tax: 税引前利益+支払利息)割合が
以下の場合
販売事業 5%以上
製造事業 10%以上
加工事業 15%以上
4-3..APA締結済であり、年次報告書を提出している場合
5. 役務提供及び支払利息の損金算入要件の明確化
5-1.グループ間のサービス提供に関する損金算入要件の規定
以下の条件の場合は、損金算入が認められます。
1) 事業運営にとって有益である。
2) 同様のサービスが他の企業により提供された場合でも、対価を支払う価値がある場合。
3) サービス対価は独立企業間価格であり、グループ内で方針が一貫していること。
サービスが提供に関する裏付資料及び関連資料の保存が必要である。
5-2..支払利息に関する損金算入要件の規定
EBITDAが売上に対して20%を超える場合は損金算入が認められません。
EBITDA:Earning Before Interest, tax, depreciation,amortization
= 税引前利益+支払利息+減価償却費+のれん償却額
これは、関連者取引のみならず、第三者との取引も含まれます。
本Decreeは、概要で不明な点も多い為、今後、詳細を規定したCircularの発行が待たれます。