▶ 旧正月(テト)の料理 【ニー】


今日も元気だ。


今日は、旧正月の特別な料理を紹介したいと思う。


ベトナム人は旧暦をよく使い、2019年は、西暦の2月5日が、旧暦の1月1日になる。

 

ベトナムでは、旧正月をテトという。

 

旧正月の1日に、家族の皆が集まって、新年のお祈りをしたり、子供にお年玉をあげたりする。

 

2日から5日までは親友に挨拶をする機会だ。これは一年の中で一番幸せな日だ。

 


テトの日に必ずある料理の中で、「BANH DAY」と「BANH CHUNG」というケーキがあり、一番代表的な物だ。

 

Banh chung はもち米と豚肉と緑豆から作られる。

 

豚肉と緑豆は味をつけて、三つの材料をLA DONGという葉で包んで、Giangという長い節がある竹の一種で紐を作って縛んで、大きい鍋で茹でる。

 

Banh chung が茹で上がるまで12時間かかる。

 

子供の頃、Banh chung が茹で上がるまで茹でている鍋の隣で待ちながら母親と話したことは楽しかった。

 

Banh dayはもち米粉から作られる。

 

もち米粉に水を加えて混ぜた後、小さな球形にして蒸らす。

 

胡麻塩をつけて、豚肉から作られたCha luaという料理と一緒に食べ、又はそのまま食べることもできる。

 

 

これはBanh chungだ。

 

 

 

これはBanh dayだ。

 


このBanh dayとBanh chung の起原は王様であったHung6世の息子Lang Lieuに由来する。

 

Hung王様は息子たちの中で、一人を選んで王様にするための試験を行った。

 

旧正月の1日に先祖に一番美味しい料理を出せた者が次の王様にするという。

 

Lang Lieuは、心配し過ぎて眠れないほどであった。

 

その夜、夢の中で、ある神様と会った。

 

米の代わりになる物はほとんどないから世界で一番大切な物は米だ。

 

だから、もち米を砕いて、ケーキを作る。

 

丸いケーキは、太陽の象徴である「Banh day」だ。

 

四角いケーキは、大地の象徴である「Banh chung」だ。

 

ベトナムは農業国ため、ベトナム人は自然を一番大事にする。

 

この2つの象徴は自然から頂いた食べ物に対する感謝を表して、また新年に天災がないように平和へのお祈りをする。

 

さらに、陰陽説では、太陽は陽性、あるいは父親のイメージを表し、大地は陰性、あるいは母親のイメージを表す。

 

Banh chungの真ん中には、豚肉と緑豆があり、人は母親から生まれるということを表す。

 

だから、Banh dayとBanh chung は、親が苦労して育ててくれたということに感謝をするという意味を表している。

 

Hung王は、Lang Lieuが作ったBanh dayとBanh chung に満足し、Lang Lieuに天位を譲った。

 

それ以来、旧正月の日には、Banh dayとBanh chung があるべき料理となった。


昔のベトナムの国土は北部だけだった。

 

だんだん、南部に広がっていくとBanh chung の形が変わってきた。

 

昔のベトナムの南部は、チャム族の住んでいた場所だった。

 

チャム族の宗教は、ヒンドゥー教シヴァ派で、シヴァは通常リンガというものを象徴化し、信仰される。

 

国土が南部に広がると、2つの文化が融合されてきた。

 

南部のBanh chungは材料と作り方も北部のと同じなのに、ケーキの形は、ヒンドゥー教シヴァ派の影響を受けて円筒形(リンガの形)になっていった。

 

また、テトに食べられるため「Banh tet」という呼び方に変わった。

 

南部の味付は甘いため、甘いBanh tetもある。

 

もし旧正月にベトナムへ来れば、ちゃんとBanh chung もしくはBanh tetを食べてみてね。



これはBanh tetだ。





これは甘いBanh tetだ。

豚肉の代わりにバナナを入れる。

 

 

ニー

 


2018年11月02日|カテゴリー:ベトナムの慣習・伝統